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徒手空拳日記

人の行く裏に道あり花の山

生還者よ

【要点】

  • 天然知能 (講談社選書メチエ) 
  • 「ブーンロッド」(生還者)は、この犬の存在を知った俺にとっての「天然知能」ではないのか
  • 生還者とは多くの人々にとって自らが拠って立つ世界も刷新される存在

タイ沖220キロで泳ぐ犬、油田作業員が救助 - ライブドアニュース

220キロの沿岸を泳いでいるところを救助された犬は、助け出された人によって、「ブーンロッド」と名付けられた。タイ語で生還者の意味だと言う。

天然知能 (講談社選書メチエ)

天然知能 (講談社選書メチエ)

 

この本によれば、「ワタシ」の一人称的な知覚である「自然知能」と、「ワタシタチ」の三人称的な知覚である「人工知能」があるけれど、もひとつ「天然知能」という視野があって、それは1.5人称的な知覚だという。

「ワタシ」の「自然知能」でもなく、「ワタシタチ」の「人工知能」でもない、訳の分からない「外部」をも取り込むことでしか得られないダイナミックな世界観である。

これは俺の言葉に置き換えれば、「自然知能」とは「ロボットの人間化」であり、「人工知能」は「人間のロボット化」である。「天然知能」は「人間の人間化」みたいなことかもしれない。

未知なる「外部」と出会い、それを受け容れることで自らが拠(よ)って立つ世界も刷新される(磯崎憲一郎)

「天然知能」とは 小説家・磯崎憲一郎|好書好日

俺は、220キロの沿岸を死にそうになりながら泳いでいて人間に発見され、救助された犬の話を知って、「天然知能」のことを思い出した。

「ブーンロッド」(生還者)は、この犬の存在を知った俺にとっての「天然知能」を駆動するのではないか。この犬の存在は多くの人々にとって、「未知なる『外部』と出会い、それを受け容れることで自らが拠って立つ世界も刷新される」存在である。

生還者とは、死の淵まで行った者が、未知なる外部によって刷新されて、生き延びる存在そのものである。今日の『ザ・ノンフィクション』は、反社会勢力からキリスト教を通じて立ち直ろうと足掻く人々の群像だったけれど、その元ヤクザの神父の言葉は、まさに「天然知能」的である。

ただやめらんないから、シャブ打ってる悪い生活を続けていていつか逮捕されて独房の中にいる。これからあと何年生きなきゃなんないんだと、お先真っ暗だったんだけど、後から見ればあの日は、神様が私を捉えた日なんですよね(神父さんの言葉)

「神様が私を捉えた」と考えて絶望に打ち勝ち生きていくのは、ひとつの不思議な「進化」である。欧米では麻薬などの依存症から立ち直った人々のことを「サバイバー(生還者)」として尊重する。

彼らを迎え入れ、社会が新しい機会を与えるのは、生還者というものが、生還者自身の世界観だけではなく、むしろ迎え入れる側の人々の世界観をも刷新するからであろう。

欧米は、依存症からのサバイバーだけではなく、事業などで多くの失敗をしてもなお成功して「生還」した人々を尊敬して迎え入れる。

他方最近の日本には、この「天然知能」がなさすぎて、「ワタシ」か「ワタシタチ」以外の世界観を一切受け付けない殺伐とした狭量さに満ち満ちている。電気グルーヴの楽曲販売禁止などはまさに、生還そのものを許さない不気味な不寛容そのものである。

俺がこのブログでアルコールをやめようと縷縷書いているのは、アルコールをやめることの素晴らしさもまた「天然知能」を獲得する契機となる生還体験だからである。

鍵のかかっていない檻に自ら閉じこもり、決して出てこようとしない朱子学カルト(人間のロボット化)に欠けている視座こそ、「天然知能」なのではないかと思う。

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