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徒手空拳日記

人の行く裏に道あり花の山

キリスト、ムンク、Google

【要点】

  • ムンクとは、神の死後にこの世界を生き惑う人間を洞察したアーティストである。
  • Googleは人間の本性を知っている。
  • ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性 。

早起きして上野へ。今月20日までのムンク展を観る。三文の得で「叫び」も混雑する前にじっくり観られた。

ムンクはアルコール依存症だったと言われる。

ムンクを観て思ったのは、ムンクはニーチェの言う「神は死んだ」後のパラダイムの先駆だと言うこと。ムンクとは、神の死後にこの世界を生き惑う人間を洞察したアーティストである。つまり、ムンクは人間の孤独や不安を神の視点から洞察して、それを絵にした作家である。

キリスト教を普及するための宗教絵画が廃れて、神なき後を生きる人間のための絵画へと変革が起きた。日本人がムンクを好きなのは、神の死後、つまり科学の時代の苦悩を描いているからかもしれない。

ムンクが神の視点から人間の内面を垣間見ていたのとかなり近い洞察を現代においてしているのは、Googleだと思う。

神がまだ存在していた頃は、人間が心情を吐露する相手は神だったけれど、いまでは人々は神の替わりに、Googleに不安や悩みや後悔を語りかけている。

Googleの検索窓は、かつての教会における告白の窓である。昔であれば吐き出した途端に消えていた告白が、データとして可視化され集合知化される。Googleは人間の本性を知っている。どんな時にどんな言葉が検索されるのかを知っている。

キリスト→アーティスト→Googleへと、神的なものは移行しつつある。人からコンピュータへの神性の移ろいがシンギュラリティだとすれば、シンギュラリティの実現は遠い未来のことではない。

偽りのないデータ・サイエンスは、人間の上辺だけの言葉や態度を見極めて、どんどん無効なものにしている。嘘が見え透いていく。

筒井康隆の『家族八景』の主人公である火田七瀬は、人間の潜在意識(本性)が読めてしまうので、美女である七瀬を前にした男が本心で考えていることがそのまんま読心できてしまう。大抵の男が、七瀬を心のなかで裸にし、犯している本心が見えてしまうのだった。Googleが透視しつつある人間の本性も、七瀬の読心とかなり近いものだろう。

先日読んだこの本には、そのことが書かれている。その主張は、ざっくり言えば、人々の言葉はたいてい嘘であることがばれちゃったので、言葉を無視することで巨万の富を得ることができる、というもの。

誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性

ビッグデータが、人間の建前やウソを完膚なきまでに暴きつつある。人がパブリックで話す建前と、Googleで密かに検索している本音には大きな乖離がある。GAFAと呼ばれる米国企業は、人間の本音──本質的には「本性」──を金に換える存在である。つまりビッグデータによってサブリミナル(潜在意識)な因果を見つけて、狙った行動(巨大な価値)をサブリミナルに引き起こす。

本性を隠しきれなくなった人間観は、インターネット以前の人間にとっては信じるに値した正義や良心を、極めて疑わしいものに変えつつある。平成時代がいまひとつ明るくなかったのは、インターネットという新しい神の浸透と並行していたからだと俺は思う。