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徒手空拳日記

人の行く裏に道あり花の山

無用の用

【要点】

  • 死んでしまったら悲しいと思われる人にだけ「有用」であればいい。
  • 今まで一貫して無用であろうとつとめてきて、ついにそうなりきることができた。お前のように、有用であろうとして命を縮めている者とはわけが違うのだ。
  • 国民国家や資本家にとって「無用」となることこそ、我々が「有用」たる賢い道なのである。

くどいようだがいま現在進んでいるのは中産階級の無用階級化であって、それは要するに社会人という矢鱈と生真面目なエモーショナル・レイバー(感情労働者)の滅亡過程である。

大切な視点は、誰にとって我々は「無用」になるのか?である。それは裏返せば、誰にとっては我々は「有用」なのかを考えることだ。数学もプログラミングもマーケティングのスキルもない中間層はGAFAに就職できない。大量生産の工場もとっくに海外に移転してしまった。つまり「創造者」や「資本家」にとって、我々は「無用」になりつつあると言える。ちょっと前まで「ナンバーワンよりオンリーワン」なぞとおだてられていた中間層は「ナンバーワンはもちろんない」うえに「オンリーワンももちろんない」完璧な「無用の長物」に貶められつつある。

資本家に「量産労働者」や「感情労働者」として使い倒され、労働で得た金の「消費者」として、今度は資本家に気持ちよくおだてられて回収されるという薄っぺらい虚構の構造が音を立てて崩れつつある。

俺は誰にとって「有用」なのか? ──簡単である。ごくごく手狭な家族や友人である。死んでしまったら悲しいと思われる人にだけ「有用」であればいい。

資本家に「有用」であろうとするあまり社畜となり頑張った山一證券の花形部署社員は、自主廃業の報せをテレビニュースで初めて知った。社会人とはつまり、資本家にお前は「有用」だと洗脳されている存在でしかなく、部長まで行っても、役員まで行っても結局は「無用」なのである。「風邪でも休めない」と思い込まされているだけで、そいつがいま死んでも何の問題もなく会社はまわり続ける。

これまでの人生が、実は自分のためのものではなかったことに気付くと、それが何よりの物悲しさとなる。「子供」という言葉は元々親が利用するもの、労働市場に提供するものという意味を持つ。学校はもともと国民国家にとって「有用」な兵士を量産する為のものであり、日本の大学などは社畜として「有用」な人間を養成する予備校でしかない。

国家や企業にとっては「自分は有用だ」と信じ切る人間が戦争や生産活動の為に大量に必要だった。それが一転、戦争は無人ドローンや高精度の中距離ミサイルで事足りるし、生産も安い海外や移民に代替すれば良い。「有用」という共同幻想の一方的な打ち切りである。

「無用の用」という老荘思想の言葉がある。

巨大な櫟の木にまつわる逸話。なぜこの巨木は伐採されることなく大きくなったのか?  

なんの役にも立たなかったからだ。舟にすれば腐るし、棺桶にすれば朽ちてしまう。「無用」だから巨大になったのだ。

人も物も、みな有用であろうとして命を縮めている。だが、私は違う。今まで一貫して無用であろうとつとめてきて、ついにそうなりきることができた。お前のように、有用であろうとして命を縮めている者とはわけが違うのだ。

国民国家や資本家にとって「無用」となることこそ、我々が「有用」たる賢い道なのである。