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徒手空拳日記

人の行く裏に道あり花の山

小指のコヨリ

藤子不二雄(A)展 -(A)の変コレクション- 公式ホームページ | 2018年10月~2019年1月、六本木ヒルズにて開催!

森美術館の年間パスポートは年間6000円でMAMに何度でも入れるので会員になっている。

美術館だけでなく天望台や屋上にも入れるので、気晴らしに良いのだ。

藤子不二雄A展覧会、素晴らしかった。日本の無形資産と言うべき偉大なる作家である。

俺は断然、藤子不二雄Aファン。「藤子不二雄」というユートピアとディストピアが表裏をなす漫画家の、彼はディストピア担当。藤子不二雄Aの描く人間の愚かさや怖さが子どもの頃から大好きで、なかでも『魔太郎がくる!!』は本当に何遍も読んだ。

f:id:Mushiro_Hayashi:20181117082952j:image(スマホでフラッシュ撮影すると映る展示物)

それからなんと言っても『笑ゥせぇるすまん』である。

1989年から92年というまさにバブルの絶頂期にTBS『ギミア・ぶれいく』で毎週新作が観られたのだけど、今でも色褪せない鋭い批評眼に唸る。ほとんどの作品がAmazonプライムで観られるけど、今観ても30年前の作品とはまったく思えない。

例えば第88話『小指のコヨリ』──アルコール依存症の会社員を描いた恐い話。

88. 小指のコヨリ
大の酒好きのサラリーマン・石井(38)は、飲みすぎで医者からも注意を受けているが、家族の心配もよそに誘われるとつい飲んでしまっていた。そこで喪黒は石井に禁酒をさせるため、酒を飲むと指を締め付ける「キンの指輪」をはめさせる。(C)藤子(A)/シンエイ

こここらはネタバレになるので、ぜひ作品を観て欲しいのだけれど、この石井という「大の酒好きサラリーマン」は、喪黒福造から貰った「キンの指輪」で禁酒を始める。この指輪は「抗酒剤」のデフォルメみたいなもので、アルコールを呑んだり浴びたりすると、小指をギュウギュウに締め付けるのである。

あまりの痛さから禁酒を続けていた石井は接待の席に駆り出されて、クライアントから「私の酒が飲めないのか?!」と迫られ、喪黒福造から「絶対にはずしてはならない」と厳命されていた指輪を外し、酒を飲んでしまう。

アルコールをやめる、指輪は外さないという禁を破った石井の小指から「キンの指輪」がはずれなくなる。──そして最後には石井の小指を切断してしまう。

ここに活写されているのはまさに、丸山健二の次の言葉に集約される日本の宿痾である。

酒はサラリーマンの飲み物です。他人に雇われ、こき使われ、対人関係のうんざりする泥沼に投げ込まれ、人生の鍵を握られてしまった人々にとっては、それはまさしく命の水なのです。

アルコールをやめられない理由を対人関係に転嫁したまんま、人生の鍵を徴税役人や政商、豪商にガッチリ握られている存在こそ、日本サラリーマンの滑稽なディストピアなのではないか。

しかし俺に言わせれば、アルコールをやめてしまえばポスト平成サラリーマンはかなり気楽で悪くないですよということ。檻の鍵はぶっ壊れており、アルコールという麻薬から自由になればいくらでも外に出られるのだ。

バブル期のこのマンガみたいに、無理矢理アルコールを強要される「アルハラ」もポリコレ圧力でもうぜんぜんないし、そういう意味で世の中も少しはマシになった。

いまさら従業員に毎月サラリーという固定費払うなんて、会社側が一方的に損しているわけで、アルコールやめられたなら、こっちからわざわざ会社やめる理由はまるでないのである。

サラリーマンの不幸とアルコールの不幸は、実はぜんぜん関係ない。自分で自分に手錠を嵌めているだけなんである。アルコールやめたなら、もはやサラリーマンは単なるベーシック・インカム受給者になるのだ。

でも、本物の自由を生き、未知なる創造の道をどこまでも突き進もうとする者にとっては、シアン化カリウムと何ら変わらないのです。(丸山健二)