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徒手空拳日記

人の行く裏に道あり花の山

松本清張を聴く

サウナで聴く音楽はフルコーラスだと冗長なので、ちょうどいいのは、YouTubeのホニャララヒットメドレー的なもの。さわりの部分だけ無限につなぐタイプだと飽きがこない。酒を覚える前の若い時代に聴いてたヒットメドレーとか、最高。

プロ野球をテレビでだらだら観るのはだるいから、プロ野球ニュースでヒットとホームランのシーンだけ観る、みたいなことに近い。

音楽ばかりだとこれまた飽きるので、Kindleの読み上げ音声なども聴く。Kindleで買った本を棚卸しして、音声ファイル化。今日は松本清張の『ガラスの城』という小説を聴く。ビジネス書だと、図や写真があるので、音声ファイルを聴くならば、エンタメ系小説がよい。

私は大の松本清張ファン。なぜなら彼の朱子学カルトを射抜く目線は本当に鋭いからだ。一流企業のOL視点から松本清張が活写する高度経済成長前の日本企業の日常、つい最近まで本当にこのまま続いていた狂気が精確に記述されている。

日本企業とは、「不仲、不作為、フリーライド」の「3フ」で貫かれている。「忙しいフリ」「ソーシャル・キャピタルのあるフリ」「金持ちのフリ」の「3フリ」も酷い。社員は皆仲が悪く、陰口ばかり。仕事そっちのけで、いかにして「やらないか」を考えている。とことんリスクを嫌い、勝ち馬に乗ることだけ考えている。朱子学カルトとはつまり、弱いものいじめである。この小説でも女子社員における美人とブスの待遇格差が克明に描かれている。

松本清張がこの『ガラスの城』を発表したのは1962年だけど、こんな時代にもう、日本企業のクソさを完全に見抜いている。ここに書いてあることは、つい最近まで日本社会の普通だった。是非図書館などで最初の10ページだけでも読んでみてほしい。その先を読みたくなることだろう。

松本清張は、「普通の人」がひょんなことをきっかけについ魔が差して転落していく有様を書かせると、右に出る者はいない。あるいは「普通の人」が心の中に抱く、想像を絶する悪魔性も読んで戦慄が走る。

暇な日に図書館へ手ぶらで出掛けて、『松本清張全集』をランダムに読むのが好きだ。明日から無職になっても、丸で困らない。松本清張全集ならば、どんな図書館にもだいたい置いてあるので、幾らでも暇を潰せる。

松本清張への召集令状 (文春新書)

この本も時々読み返す。松本清張は、戦中の汲々とした社会集団でついつい浮きたち、いつも権力に眼をつけられてしまう。ほんの僅かな動作の周りとのズレが、監視者の目に止まる。

そして体罰や徴兵を喰らう。割を食う。その様子を読むと、彼が作家になることが必然だとわかる。彼は朱子学カルトを異物と捉えてしまうので、社会にとけ込めず、ひたすら排除されるのである。彼の作品はズレによる排斥への恨みが根幹にある。

取り敢えずいまはまだ仕事を呉れる客がいてくれるのでありがたいが、仕事が貰えなくなり、仕事ごっこしか出来なくなったなら、さっさと身を引いて毎日図書館で松本清張全集を読んで過ごしたい。その時は生活保護を貰えたら、超絶最高なんだが。