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徒手空拳日記

人の行く裏に道あり花の山

言葉の自動機械(2)官製言葉に御用心

もし私がカメラマンなら、テレビに心を奪われている人間たちの惚けた表情をたくさん撮りたい。飯屋で定食を食いながら店先の小さなテレビに心を奪われる男の表情、テレビ付きの銭湯で風呂に浸かりながら、知り合いでもない複数の人間が音の出ないテレビを見上げている顔つき、定年退職後、朝から酒を飲み、濁った目つきで居間のテレビの前に座る老人……。

いまのテレビって、「これでもかッ」っていうほど、ありとあらゆる内容を文字で伝えようとする。バラエティなどは映像を観るというより文字を読んでいる方が多いし、ワイドショーもキーワードが幕の内弁当みたいに整理されたシールでめくる式の見出しボードみたいなものが中心にある。

映像や音が中心だったテレビメディアはいつのまにか文字中心のメディアに変質している。

書き言葉の力は話し言葉のそれとはまるで異なる。「書く」とは「掻く」である。本来は音声だけだった言葉を長期保存する為の手段が、「掻き言葉」なのである。言い換えるなら言質である。

例えば「働き方改革」という笑止千万な書き言葉は、行政が勝手に造り出した新語で、新聞やテレビがそのまんま無批判に書き言葉として、使うことで、あたかも昔から存在したかのような意味を持ち始める。アベノミクス、帰還困難区域、プレミアムフライデー、クールジャパンなどなど、政官財がつくった言葉を鵜呑みにして、街で酒場でお茶の間で、フツーの人達が使い始める。これが彼らの狙いである。

アベノミクスという官製言葉が出始めた頃には、大阪あべののお好み焼き屋が、「あべのミックス」というお好み焼きを売り始めています、みたいなことがテロップ満載のニュースとなって、奴隷達の心の鎖になっていった。

書き言葉は特に恐ろしい。いまや多くの人が無意識に、権力に都合の良い掻き言葉を自動で読まされている。地上波テレビを通じて。

不特定多数への語りかけは、すでに思想ではない。(石原吉郎)