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徒手空拳日記

人の行く裏に道あり花の山

速い感情と遅い思考

地球の誕生を元日とすると、生命の誕生は4月8日、なんとそこから11月1日まで単細胞生物のみの時間が続く。11月26日午後、最初の魚類が出現。恐竜の時代は12月9日から12月26日まで。12月25日に最初のサルが地球に出現する。我々人類の祖先、ホモ・サピエンスの出現は12月31日午後8時10分頃である。エジプトやメソポタミア文明は今からわずか30秒前の出来事に過ぎない。(橘玲「バカが多いのには理由がある」より抜書)

だから、たかだかこの500年程度の西欧文明や数百年の民主制なんぞ、人類の未来にとっては丸であてにならないのではないか、と思う。

特に、人と人の脳がスマホで接続されてからの人類にとって、学校、教会、軍隊、企業などの西欧文明の支配システムの意義は、根底から疑われるはずである。狩猟→農業→工業と線形で進んできた人類が非線形な変異を経験するのが、これからの時代かもしれない。

言葉による「遅い思考」よりも、好き嫌いや快不快の「速い感覚」が優先して世界を支配する。

GAFAが成し遂げつつあるのは、「遅い思考」の役に立ちにくい、人間の本性を剥き出すマネタイズである。人間の原始的な速い感覚がマネタイズに利用されて、遅い思考は役立たずになるかもしれない。工業化の時代は、速い感覚に生きる大衆も、中間層としてそれなりに恩恵を受けたけど、これからの時代においては早い感情を消費する単なるデータ提供者となり、豊かさが奪われていく。Amazonの労働者を見みれば、ごく一部の経営層以外は、尊厳のある仕事は与えられないことが現実化している。Appleだって、iTunesを設計したり、iPhoneのデザインをしている人以外は、まさしく彼らの手足となって無味乾燥な組み立て工場労働に機械の替わりに駆り出される。

遅い思考を重んじる人は、好き嫌い、快不快で生きている人々に憎まれて疎まれて、大衆から相手にされなくなる。つまりメシが食えなくなる。「文系は要らない」みたいな極論も出てくる。最近の新刊書を本屋で見ると、原色の表紙でやたらと文字数の少ない本ばかりになってきている。書籍が速い感覚にばかり合わせていくと、遅い思考は新刊書店にはどんどんなくなっていく。

日本は、敗戦からひたすら米国に過剰適応して来た。トヨタはGMへの過剰適応だし、ソニーはGEへの過剰適応である。東芝は過剰適応のあまり遅蒔きに「核という一神教」に手を出して、ついに尻の毛まで抜かれてしまった。

そしてGAFAもまた、度を越した日本人による過剰適応の対象である。はじめのうちは官僚主導で「日の丸GAFA」を目指していたが、挫折したのでいつのまにかGAFAそれ自体に心酔、徹底して帰依するようになった。

日本、ベトナム、北朝鮮──米国と直接戦った国ほど、反動で米国に過剰適応するのはなぜだろう。米国とは、国のカタチをしているが、要するに「速い感覚」超重視の「これからの人類」の先駆なのである。

日本のあらゆる政官財学が要は一様に米国への過剰適応なので、日本は早晩「極東のラストベルト」になるであろう。大衆のレッドネック化も容赦なく進む。