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徒手空拳日記

人の行く裏に道あり花の山

『万引き家族』──難民の映画

この「家族」の住処は荒川区辺りで、私はこの荒川放水路の周辺エリアになじみがあって、映画の鈍色の街に引き込まれた。最後のシーンの都バス路線(上46)もよく乗る。

『万引き家族』は、普遍的な難民の映画だと思った。

世界的にこの映画が評価されたのは、この映画を、難民というコンテクストとして見ればすごくよくわかる。世界にはいま難民が溢れている。

なんみん【難民】
①天災・戦禍などによって生活が困窮し、住んでいた土地を離れ安全な場所へ逃れて来た人々。
②人種・宗教・政治的意見などを理由に迫害を受けるおそれがあるために国を出た人。亡命者。
③転じて、何かから溢れてしまった人々を俗にいう語。「昼食━」「就職━」
大辞林 第三版

グローバル(球)化という、際限がないくせに有限なこの地球上の、特に先進国で共通して起きていることは──20世紀の工業化で恩恵を得ていた中間層の地滑り的な没落である。人間の際限のない欲望によって、有限なメンバーシップが飽和して、容赦なく切り捨てられる人々が量産されている。

映画を観ている間、「包摂」の反義語をいくつも考えていた。──「排斥」「排除」「排他」「追放」「離散」「厄介払い」「はじき出す」──などといった言葉。金が全ての社会システムから追い出され、法の外へと叩き出されてしまう。これを難民と言わず何と呼べばいいのか。

先月観た「フロリダ・プロジェクト」で、フロリダのディズニー・ワールド近くの安モーテルでその日暮らしをしている人々と、丸で同じではないか。

「フロリダ・プロジェクト」の感想 - 徒手空拳日記

全球のありとあらゆる地域の中間層が没落して、法外の酷薄な世界へと突き落とされている。無敵の人は仕方なく肩寄せ合い集まって、擬似的な「家族」をつくる。余裕のない閉塞した社会の遠心力によってつまはじきにされた人々への強い視点を感じる作品で、観ているこちらはあたかも沖へ流されるように言葉や法の外の世界へ引き離されていく。万引きとは、文化の外へ、つまり、言語や法の外へと出ることに他ならない。

法によって裏付けられた家族関係や共同体が壊れつつある今、私たちはもはや排他という遠心力によってしか、求心力を保つことの出来ない事態に直面している。これから私はどうやって生きていくべきか、強く揺さぶられる映画だった。