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徒手空拳日記

人の行く裏に道あり花の山

「フロリダ・プロジェクト」の感想

最近はしょうもない地上波を根っこから消灯して、Amazonやyoutubeばかり観ているけど、この前の休みに家で観た「タンジェリン」が余りにも素晴らしくて、いま公開している「フロリダ・プロジェクト」を観に行った。

「タンジェリン」は、ショーン・ベイカー監督が全編をiPhoneで撮影したことが話題になったけど、それだけではなく中身が断然いい。ロスアンゼルスに暮らす性的な、或いは民族的なマイノリティの日常を活写している。

冷戦が終わって、共産主義も民主主義もリベラリズムも終わって、つまり言葉によって打ち立てられたはずの人類の理想主義が崩れ去り、ただただ酷薄な、身体的につらい世界が出現した。弱きものは、暗くて寒い、怖い世界へと容赦なく身ひとつで投げ出されることになった。

確かに昔に比べれば矢鱈と殺されはしなくなったけど、選べもしないクソみたいな、生かさず殺さずの非合理の世界に放擲される。

「フロリダ・プロジェクト」は、不条理な環境に生きる子どもという、いわば世界最弱のマイノリティの視点から、この容赦ないクソ世界を描いている。

フロリダのディズニー・ワールドに隣接するモーテルは、その容赦のない非合理を象徴するトポスだろう。(あそこは、浦安のTDRみたいな潔癖な夢の国ではなく、もっとずっと廃れた場所だけれど)

6歳のムーニーと母親のヘイリーは定住する家を失い、“世界最大の夢の国”フロリダ・ディズニー・ワールドのすぐ外側にある安モーテルで、その日暮らしの生活を送っている。

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 » 映画「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」公式サイト

2008年のサブプライム・ショックによる困窮の果てに家を失い、安モーテルのその日暮らしに陥った子どもたちの話。

性善説と性悪説がこの世にはあると言われるけど、本当にあるのは、「性弱説」ではないか。

人間は生れながらにして、弱い。弱いから悪くなる。弱いから麻薬に溺れる。弱いから騙されて、人を信じなくなる。

弱い人間に育てられた子どもは、どうやってこの冷たい世界を生き延びていけばいいのか?

ラストシーンで迫り来るシンデレラ城は何も教えてはくれないが、私の何かを変えてくれるチカラを持つ。一食抜いても是非オススメしたい映画だ。