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徒手空拳日記

人の行く裏に道あり花の山 千利休

読書の価値

読書の価値が変わりつつある。本を読むことは、もはや”勉めて強いる”「勉強」ではなく、作者との濃密な対話というライブ体験に近いのだ。

『世界一美しい本を作る男-シュタイデルとの旅-』という映画を観た。

世界一美しい本を作る男-シュタイデルとの旅-(プレビュー) - YouTube

シュタイデルという出版社のドキュメンタリー。売れて儲かる本をつくりつつ、たとえ儲からなくても、なくてはならない本もつくる。世界中のアーティストから絶大な信頼を得ているが、そのキャパに限界があるので、ここから本を出すこと自体が価値になる。発行部数が少なくても、だからこそプレミアムが付く。シュタイデルの本ばかり狙う蒐集家もたくさんいる。

これは「紙の本」がこれからたどり着く未来だろうなと思う。有限のコピーであるが故に価値があるという意味で、もはや浮世絵の木版画みたいなものに近い。

無限にコピーできるKindleの対極にある本である。

シュタイデルの本に限らず、もはや「紙の本」は多くの人にとって、かつての本よりもずっと特別なものになって来ている。読書自体が多くの人にとってはもう習慣ではないのだ。例えていうなら、大好きなアーティストのライブに行ったり、尊敬する人物の講演を聴くような非日常体験に近い。

だから、最近の本は「つかみ」がとても大切だし、長過ぎると読まれない。今日の己っちのブログみたいに著者のメッセージがまずどーんとあって、「その心」が簡潔に語られる構造に変わりつつある。

文字による脳への入力は、朗読などの音声や映画などの映像による入力よりも圧倒的に効率がいいから、文字のノンリニア性や情報の圧縮性は、再評価されつつある。

「紙の本」が売れないのは、時代のせいではない。日本の殆どの出版社にまともなマーケティングのスキルがないからだ。この映画を観て改めてそう思った。