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徒手空拳日記

持たざる移動を追い求める手ぶら評論家。 手ぶらを、いつか当たり前のウォーク・スタイルにする。 人の行く裏に道あり花の山(利久)

「この世界の片隅に」

映画「この世界の片隅に」とてもよかった。

能年玲奈は、本名なのにその名を名乗れず、冒頭「のん」とだけ出る。仮に彼女が干されたのだとしても、こんなに素晴らしい声の女優には、たくさんの仕事が舞い込むだろう。女優は、声だ。

タイトルに続く言葉を補うとすれば「あなたが、このわたしを見つけてくれて、ありがとう」という、すずの気持ちである。

人はどんな形であれ、それ(陳腐な言葉で言えば、縁)がなければ、「いまここ」の意味を失う。

あの戦争を取り扱う殆どの映画で、1945年は非連続な点として取り扱われるが、「片隅」では、世界は完全に連続している。

敗戦は、日本全体にとって非連続なぞでなく、戦中の負が殆ど持ち越された通過点に過ぎなかったと改めて思う。日本もまた「この世界の片隅」に過ぎなかった。甚大な損失にも関わらず、日本は精神面において、戦前と何も変わっていない。あの戦争を始めた権力者、政商、豪商が、戦後もそのまま米国の走狗となり、生き延びている。

エリートの戦略欠如、組織の事大主義、弱きものを挫く軍隊主義、相互監視や同調圧力、どれもこれも、戦前・戦中のOSが残っているどころか、この20年は増長の勢いすら見せている。

ただし、少し希望が持てるのは「この世界の片隅」がつながり始めて、分散型ネットワークによって世界が変わる兆候が世界レベルで見え始めていることである。2017年は、より強かに「片隅」が「この世界」をぶっ壊すだろう。そのエネルギー源は「片隅に」ある無数の「あなたがわたしを見つけてくれて、ありがとう」である。